<天地の対話>の方法
(書籍:シリーズ1『あの世とこの世の仕組み』からの抜粋)
1.チームによる受信
<天地の対話>、いわゆる<死者との交信>とか<霊界通信>とか言われているものに、たとえば『シルバ-バーチの霊訓』や『ホワイト・イーグルの霊言集』などがあります。そのような世界的に定評のあるものは、霊媒が単独で受けるのではなく、それを見守りコントロールする審神者役の人が付いていました。
その具体的な役割は、霊媒の意識を発信先に向け、具体的な質問をし、受信された内容の真偽のほどを判定する、というものです。
本書で紹介するメッセージも、すべて霊媒と審神者のペアで受信してきたものです。私たちは東京から伊勢に移ってきた者同士ですが、審神者役の私は2007年から東京と伊勢の二重生活を続けた後に、2016年からは本格的に伊勢で暮らすようになり、霊媒役の蓮さんは、2010年から家族共々伊勢に移住してきました。
やはり伊勢という地は、天地の対話には最も適した場所だったようで、お互いにこのメッセージを受信するために、伊勢の神様に呼ばれてきたとさえ思っています。
実際に受信が始まったのは2012年10月からでしたが、しばらくはウォーミングアップのような内容と、基盤固めのための状況が続き、本格的にメッセージが降りてくるようになったのは2015年1月からでした。
途中もう一人の霊媒友紀子さんが加わり、霊媒2人と審神者1人の3人のチーム(サラ・チーム)でこれまで受信してきましたが、8年間ほぼ毎日続いてきたのは、そのようなチーム力によるものだったように思います。
これまで、さまざまな霊媒の方々を見てきて思うのは、とかく霊能者というのは<全知全能感>に陥りやすいのではないか、ということです。霊能者が徐々に教祖化して、それが社会問題化する場合は、その<全知全能感>という慢心が、徐々につながり先を低くしてしまうという問題があったのではないでしょうか。
それを防ぎ、高次元のメッセージを受け続けるためには、霊媒自身の自己研鑽は不可欠であり、生身の人間としての非力さや不完全さをしっかりと自覚した上で、謙虚に受信し続けるしかないものと思います。
それを実践するために、私たちが<天地の対話>と並行して行っていたのは、<魂の対話>と呼ぶものでした。<天地の対話>を縦軸対話と言っていたのに対して、人間同士で行う<魂の対話>は横軸対話と呼んできましたが、それは普段気付かずにいる自分を「ありのままに見てー受け入れて―学ぶ」ために、無意識層に押し込めているさまざまな感情や、個人的観念・集合的観念を一つずつ認識して手放していくための<対話>です。
それをサラ・チームの3人は、週に3回、2~3時間ずつ続けてきましたが、それ以外にも外部から<魂の対話>に参加を希望する方々に対しても、一泊二日の集中的な<魂の対話>を提供してきました。
それは、2016年8月から始めて、2021年2月現在まで合計172回行われています。それに続くメールでの対話は、カウントできるだけでも6800回ほどになっています。
私は、その対話の<センター>という役を勤めてきましたが、これまでの臨床心理士やファシリテーターとしての40年以上に及ぶ訓練はこのためであったか、と思ったほどです。
ただし、そのセンターの役割は、通常のカウンセラーとは異なり、フロイトの精神分析的要素も含んではいましたが、どちらかと言うとソクラテスの対話のように<無知の知>を基盤とした厳しい突っ込みを伴っていました(注:実際に<あの世>のフロイトとソクラテスが登場して対話することもありました)。
そのため参加者は、実数としては100名ほど、延べ人数は450名ほどでしたが、現在もなおその対話に残っている人は10名程度になっています。しかし、そのような厳しい横軸対話を続けてきたからこそ、<天地の対話>が今まで続いてきたのでしょうし、つながり先も次第に次元を上げていくことができたのではないかと思います。
これからまとめる内容は、そのような横軸対話を基盤として、天地の協力によってまとめてきたものとしてご覧ください。
2.メッセージに有名人が多い理由
これからご登場いただく<あの世の方々>は、たとえばアインシュタインやホーキングなど有名人ばかりになるので、それ自体がいかにも怪しく見られがちでした。それゆえ、まずそれについて説明した、以下のメッセージをご覧ください。
『有名人とは、いい意味でも悪い意味でも、みなの学びのためにモデルとなっているところがあります。例えば、ヘレン・ケラー、キューブラ・ロス、マイケル・ジャクソンなど(注:本書には登場しないが、<天地の対話>には話の流れに応じて、これまで60人ほどの著名人が登場している)、どの方をとってもテーマが明確で、なおかつその精神内界の複雑さや繊細さ、そしてそこからの学びの多さは突出したものがあります。
もちろん無名な方でもそのような方々はたくさんいらっしゃいますが、みなさんの共通認識としてある程度イメージがある方のほうが、同じ体験を聞くにしても共感しやすいでしょうし、まったく知らない方であれば、その方がどういう人だったかという説明からしなければなりません。ですので、このような点からも、有名人の方が見本として適していたということです』
さらに有名人というのは各時代を代表し、それぞれの課題をクリアしてすでに天界におられる方も多く、生前の学びがアカシックフィールドに書き込まれている、ということも多いようです。とは言え、名前は単なる記号にすぎないので、あまりそれにこだわることなく、語られる内容によってご判断いただければと思います。
3.質問への答え
なお、<魂の対話>に参加された方と、以下のような質疑応答をしたことがありましたので、参考のためご覧ください。
質問:「そもそも、<天地の対話>で語っているシュタイナーやダヴィンチなどは、地上では個性をもつ自我であっても、死後は各段階を経て、徐々に地上の個性を脱いでいくはずですよね。特に天界に達すれば、<ワンネス>に近い存在になって、もはやシュタイナーとかダヴィンチなどという個性は無くなっているのではないかと思いますが、いかがでしょうか?」
審神者からの回答:「確かに対話の時の彼らは、一応最初は地上時代の個性をまとって出てきますが、普段は<ワンネス>としてアカシックフィールドにおられるようです(ソクラテスなどは、誰かに呼び出されるたびに、かつての自分に戻って出ていかなければならないので、面倒くさいと嘆いていました―笑ー)。
あの世の誰かと話したいと思うときは、霊媒がまずアカシックフィールドに同化し、審神者が質問して焦点付けしたところに、霊媒が意識を集中して、その人の言葉を引き出します。
例えば、昨日は「言葉」についてのこれまでの<天地の対話>をまとめていたのですが、それを読んでいてふと浮かんだのがヘレン・ケラーでした。そこで、霊媒にいくつかの質問を書き送って、<あの世>のヘレン・ケラーにアクセスして、<天地の対話>をしてもらうようお願いしました。
で、いつも面白いなと思うのは、誰か指名して最初のうちはその人の個性が明確に出ていても、次第に霊媒とその人が同化していくんですね。だから、霊媒自身もその人が言っている言葉なのか、自分が考えたことなのかわからなくなって、最初のうちはよく混乱していました。
でも、内容からすると、到底霊媒自身が考え出せるような内容ではないのです。その辺について、霊媒自身から何か追加説明があったら、よろしくお願いします」
霊媒からの回答:「今回のヘレン・ケラーさんの場合、彼女のドキュメンタリー映像とプロフィール、いくつかの紹介記事を読んでいると「こんな感じなのかな」というおぼろげなヘレン・ケラーを、アカシックフィールドで認識します。
霊体としての明確な輪郭があるわけではなく、意識体という感じなのですが、お話する時というのは、何となくその面影や声質や雰囲気などが感じられます。
最初はお話するという自己と他者という関係があるのですが、そこから彼女の脳と私の脳がつながって合体していくと、だんだんと私と彼女の境目はあいまいになって、一体化していきます。その頃になると、彼女の体験で感情が動いたことに関しては、私も一緒に泣いたりするほどになっています。
審神者から質問が来ると、その質問に関する記憶に焦点がしぼられ、わりあいスルスルと回答が出てきます。いざそれを言葉に書く時は、肉体脳が動いている通常意識ではなく、いったん眠って自ら退行催眠状態になると、肉体脳が介入せずにやりやすいです。その時はほぼ霊体脳を使っているのだと思いますが、こうなると時間感覚や日常的な思考は消失しています。
実際にアカシックフィールドと同化するのは私ですが、そのアカシックフィールドに向けて質問をするのが審神者という役割分担があるからこそ、成立していると思います。私だけであれば、何も起きません。基本的には何かに焦点づけせず、ただボーッとして同化しているだけだからです。
また「明晰な質問だからこそ、明晰な回答になる」というのも感じています。他の方がする曖昧な質問の場合は、焦点づけがうまくいかないからです。
アカシックフィールドから情報を引き出すには、インターネットの検索と同じで、正しい質問を入力すれば回答が来るというシステムになっているということです。ダーツに例えると、良い質問はバシッと(的としての)その人の核心に矢があたる感じがします」