立花隆<あの世>でのインタビュー7 ローズマリー・ブラウンとの共同プロジェクト:リスト×ショパン×ベートーヴェン

2022年618

立花  『久しぶりのインタビューで、少し肩慣らしが必要かもしれませんが、いつか音楽家の方にもお話を伺いたいと思っていたので、私も楽しみです。さて今回は、196080年にかけて霊媒のローズマリー・ブラウンさんが、亡くなった作曲家たちから音楽を降ろしていましたが、その代表的なお三方ということですね。中でもリストさんは、その中心的存在だったということですが、そのプロジェクトの概要をまずはご説明いただけますか?』

 

リスト  『その時代は、まさに近代科学による唯物主義に、集合意識が傾いている時で、なおかつ世界大戦もあった後でした。そのため、天界主導で死後世界の霊魂の存続を、あらゆる方法によって地上に伝えることになったのです。霊言、ヒーリング、交霊会をはじめ、欧米では一大ムーブメントとなっていました。私たちもその流れの一つとして、あの世の音楽家達から新たな曲が届くという、芸術における死後世界の実証をすることになったのです』

 

立花  『死後世界を否定した人たちが、ぞくぞくと幽界に行っていましたから、天界はそれを危惧していたということですね』

 

リスト  『それが第一でした。科学者による死後世界の証明は、まさにその一点突破を狙ってのことでしたよね。その大前提の上で、私たちの役割は、魂にも働きかけることであったと思います。

 

つまり、死後世界の認知だけであれば、例えばアストラル界にいる戦死した息子と、自分たちだけしか知らない内容の話ができれば、それで観念を覆すことはできますよね。本当に息子はあの世でも生きているんだ、と。その観念の突破が一番大変ではあるのですが、あくまでもそれはあの世の入口です。

 

その入り口を過ぎたより高次の世界では、かの有名な音楽家たちが美しい音楽を奏でていて、そこから曲を降ろしてくる。「天とはそのように芸術の源泉であり、理想的な世界があの世に広がっているのだ」という5次元世界(天界)にまで広がる希望を与えることが、私たちの最終的な願いであったのです』

 

立花  『なるほど。確かにアストラル界との個人的やり取りは、死後存続の納得にはなるとしても、そのままの人間ぽさがあるために、それ以後の神につながる階層までは想像しにくいですからね』

 

リスト  『だからより高次からの霊言に加えて、音楽の方面からも、神の品格や美しさを伴うものも、その後降ろされていったということです』

 

立花  『その中で、ショパンさんとベートーヴェンさんは、どのようなお役目だったのでしょう』

 

ショパン  『実は、私たちはその当時、大忙しでした。リストさんはローズマリーさんの専属で、小さな頃から付き合っておられましたよね。ですから、「あっちも、こっちも」という状態ではなかったと思いますが、私などはどこかしこでショパンの曲の演奏会が催される度に意識を向けていました。演奏者はショパンとつながって演奏できるよう願っていますから、それに応えて天の息吹をもたらすためです。また、天とつながっている作曲家にひらめきを送ったりもしていました。

 

私たち音楽家というのは、天界に行くと創造力の源泉として、今度はそれを送る側の仕事を任されるんです。精神界にいる時は、最後の奉仕として地上のサポートをしますが、天界にいけばなおさら今度はインスピレーションを、あちらにもこちらにも、時には一気に何か所にでも送る、ということをしているんです。

 

それに加えて、ローズマリーさんの仕事が始まったものですから…。しかもそれは地上にまで幽体を着て降りていくという煩雑な手間を伴う任務でしたので、「こりゃ大変だな」というのは正直なところでした。しかし時期的にも地球の大きな転換期にあたり、そのタイミングを逃すと大変なことになりますから、私たちもフルパワーで献身していました』

 

立花  『ショパンさんたちは、ローズマリーさんたちにアクセスした時、どこにおられたのでしょうか?』

 

ショパン  『私とベートーヴェンさんは、リストさんよりも一足早く亡くなっていたので、すでに天界にいました。しかし上層から下層に降りていくことはできるので、その期間は精神界にいることが多かったです』

 

立花  『ベートーヴェンさんはどのような心境でしたか?』

 

ベートーヴェン  『地上の人々が物質世界に傾倒していくごとに、芸術面でも天を意識してそこから崇高なものを降ろそうというアーティストが減ってきていました。このままではアート自体が天とつながったものではなく、単なる昇華しきれていない感情や欲望の表出にすぎなくなり、劣化していくだろうと思われました。

 

私たち音楽家はそれに心を痛めていたので、ショパンさんがおっしゃったようにいくら忙しくなろうとも、最後に強力に地上に働きかけてみようという気概で臨んでいました。その私たちの本気度をローズマリーさんはとても真摯に受け取ってくださり、自分の時間の使える限りを、その使命にあててくださっていました。

 

天からいくら働きかけようとしても、地上の霊媒がそっぽを向いたり、幽界にのまれてしまうということはよくあることでしたので、そうはならずに彼女は続けられそうだという見込みが立った時点で、私にも声がかかり、音楽を伝える作曲家の一人として加わりました。

 

何事も、すべてがはじめから決まっているということではなく、青写真はあったとしても地上の人がそれをどこまでクリアしていくかによって、天界は柔軟に作戦を組み替えていきます。ローズマリーさんが思った以上に頑張ってくれたので、「ではこの際、シューベルトも、バッハも呼ぼう」と、その都度人選は増やされていました』

 

立花  『天界から来られた人の場合、生前の曲調にあえてレベルを落としていた、という話もありましたが、お二方は実際いかがでしたか?』

 

ショパン  『確かに地上の人が思い描くかつてのショパンに寄せる努力はしました。また、地上時代は無意識にやっている自分の癖というのがありますよね。それを天界の音楽研究をしている専門家の人に「僕はどういう癖がありましたっけ?」など、一度確認してフィードバックをもらってから臨んだほどでした。

 

なぜなら、音楽家の中にも、天からどんどん曲が降りてくるために、無意識の部分を多く活用して作曲していたタイプと、そのインスピレーションを得ながらも自我とのバランス力で作曲していったタイプがいますからね。

 

私は前者で、ベートーヴェンさんは後者だったと思いますが、私タイプは自分の癖を自覚していないことが多いんです()。なので今回のフィードバックを受けて「え、そうだったのか」という発見も多く、3次元での自分の楽曲の理解がこの機に深められたというおまけもありました』

 

立花  『確かに霊媒タイプの音楽家の方は、意識的ではなかったでしょうから、そのお話は面白いなと思いました。ベートーヴェンさんはいかがでしたか?』

 

ベートーヴェン  『私はあれこれ考えるタイプではあったので、自分の作曲のやり方というのは、それは時期ごとに変遷していったのですが、それを自覚的に思い返すことができました。しかし全体との兼ね合いの中で、自分のどの時期のスタイルをメインにし、どの方向性にするかというのは決まってくるため、やはり(天界の音楽研究の)専門家と相談した上で、ほどよい落としどころを探った上で臨みました。

 

まさか第9のパロディーではあまりに単純で嘘くさくなりますから、音楽の構成は確かにベートーヴェンらしいと思わせつつ、しかし少しの新鮮さも加えつつ…というバランス感覚には苦心しましたね。

 

そして音楽というのは、傷ついた心を癒し、魂の救い、魂の目覚めにもつながりやすいものであると、私は思っています。それは私自身が、虐待に近い幼少期、そして困難な人生の中で、自分を励まし、救ってくれたものは、やはり音楽だったからです。ですから、そのような人が一人でも増えますようにという、心からの祈りが込められた上での作曲でした』

 

立花  『みなさんのお話をうかがい、その時の様子がよりイメージできたように思います。最後に、<今>の時代の皆さんに、リストさんからメッセージをお願いします』

 

リスト  『わずか数年しかピアノを習っていないローズマリーさんが、これだけ多様な音楽家の曲を、その人らしさを盛り込んで見事に作曲できるということ。そしてそれはテレビで公開しながら、即興的にかなりの難曲を筆譜し、そのスピードも信じがたいものだったこと。さらには作曲数も300曲を超え、とうてい一人の女性がそこまでバリエーション豊かな曲を書き上げるということは不可能であるということ。

 

その事実を素直に受け取り、死後世界からの音楽家たちによる働きかけが確かにあったのだと、今この時に納得して下さる方が出てくるならば、それはとても嬉しいことです。

 

私たちがこれだけ苦心して成し遂げたプロジェクトは、イギリスではセンセーショナルな話題となり、数多くのメディアでも取り上げられましたが、それがすぐに忘れ去られていった時には、やはり本心を言えばとてもショックでした。

 

しかし今、日本で再び光をあてていただいたのは、西洋的な科学的思考に訴えかけるだけではない、感覚的にも訴えかける側面が強い、この音楽による死後世界の証明の方が、より日本人には受け取りやすいからだと思います。

 

<新しい地球>には、死後世界を認めていればアストラル界以上に行けるというのですから、私たちが成した仕事が、皆さんのお役に立てれば幸いです』

 

 

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