雑誌 岩戸開き 連載<天地の対話>によるリセット・リスタート 第2回 <岩戸開き>についての考察
私たちは、伊勢に移住あるいは帰郷してきたチームなので、神話の世界には慣れ親しんできました。
ですが、先の『岩戸開き』創刊号で書かれていた「記紀神話にあるような嘘と暴力で無理やり開いた天の岩戸開き」という部分については、言われてみれば確かにそうですが、これまでは何となく読み流していたように思いました。
それがなぜかを考えると、私たちの関心はどうも最初の部分の「身を隠したまひき」と言われる天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神にあり、天照大御神と須佐之男命に始まる「岩戸開き」などの物語は、人間的な物語として読んでいたせいなのかもしれません。
そこで改めて、この「岩戸開き」について<天地の対話>による説明を求めてみたところ、以下のようなメッセージが送られてきました。
(注:審神者が問いを発すると、霊媒を通してメッセージが送られてくる仕組みになっている)
『岩戸開き』とは(2022年7月7日受信)
『神話というのはどのような時代であっても、その時代なりの幾層もの解釈ができるよう、集合的無意識の叡智を<象徴的物語>にしたものです。ですから、今改めて「天の岩戸開きの神話」について一つの解釈をご紹介してみましょう。
本来、アマテラスとスサノオは、和魂と荒魂としてお互いに協力しながら、神の分身としての役割を担うはずでした。それは光と闇とも言い換えられる対称性だったからです。
しかし、その荒魂というのは、正しく使えば正義として人のために活かせますが、幼い心のままに感情的にその力を使うならば、乱暴狼藉の迷惑行為になってしまいます。そのようなエゴの力が強くなれば、光と闇のバランスが崩れてしまい、<この世>は真っ暗闇になってしまいます。
それが、アマテラスが岩戸隠れをしたことに象徴され、そこから岩戸開きの神話が始まります。
困った神々は皆で知恵を出し合い、祭りを開くことにしました。祭りとは天と地のつながりを確かめ、強化するための儀式です。それによって人々の心の淀んだ気も払われていきます。そのためにアメノウズメは舞い、皆の心が一致団結してほぐれていきました。
そしてその祭りは、天から授けてもらうという受動的な姿勢ではなく、地上にいる神々(人間)の方から、闇を切り拓くための働きかけをした、ということがポイントでした。なぜなら、その闇は地上側のエゴによる集合意識の現れですので、自分たちが作り出したものは、自分たちの責任によって光を当てていく必要があったからです。
その祭りのにぎやかさを不思議に思って、アマテラスが少し覗くと、そこに鏡が差し出され、自分の高貴な美しさがそこに映りました。それは神の分身である誰にも言えることで、闇を払うためには、やはり自らの魂の美しさに気付くことが必要なのです。
そうなった時には、光は岩戸の中から漏れ出し、タヂカラオ(田力男神)が岩戸を開けることで、アマテラスは外に出てくることができました。
これらのことは「地上の皆が、主体的にそれぞれの特性を生かし合い、協力してこそ岩戸が開かれる」ということを象徴的に物語っています。それは地上側に、闇を開くための扉の取っ手はある、ということです。
<この世>というのは、神々の分身として生きている人間の、集合意識で見ている夢の世界です。その集合意識で世界が暗闇になってしまったのは、結局は、その夢を映し出す元になっている<人々の心の中>が暗闇になっていた、ということです。
そして、闇とは無意識であることを象徴しています。ですから一人ひとりが自分の<心の闇>を意識化し、その奥にある魂の光を見出していくことが、全体の岩戸開きのための力になっていく、といえるのではないでしょうか』
人類が作ってきた闇
この十年ほど受信してきたメッセージは、<リセット・リスタート>が主要テーマで、すべての生命が生成と消滅を繰り返しているように、この地球や宇宙も生成と消滅を繰り返すというものでした。
そのためにこれまでアセンションやリセット・リスタートが企図されてきましたが、どちらも地上を覆う分厚い闇のためにかないませんでした―。
そのようなプロセスについては、天地の対話シリーズ2『アセンションからリセット・リスタートへ』に詳しくまとめましたが、その闇を意識化して浄化していくことが、次なるサラ・プロジェクトの課題になりました。
天が創ったものは天が解消できても、人間の集合的な<心の闇>が作った地上の闇は、人間自身が晴らさなければならない、ということでした。
そのため、私たちはあの世のアストラル界や幽界に留まる霊との対話や、この世で自他を「ありのままに見てー受け入れてー学ぶ」という、仏教用語で言うなら<正見>のための<魂の対話>を続けてきました。
その結果、魂(神)を見失った人類が、どのような心の闇を深めていったのかを、シリーズ3『新たな地球への遺言 <魂の対話>を通して見えてきた人類の問題』としてまとめました。
確かに、環境破壊の問題と同様に、人間が深めてきたこの世の闇は、もはや取り返しのつかないところまで来ているようにも思われました。
岩戸の取っ手は地上側に
ただし、「岩戸の取っ手は地上側にある」というのは、とても心強い言葉ではないでしょうか。
神頼みや他力本願から脱して、自分の心の闇を<正見>する、光を当てて意識化することで、自分の魂を見出すための<岩戸開き>は可能だということです。
確かに、私たちはこれまで<魂の対話>を続けてきた中で、何人もの人の<高貴な美しさ>を垣間見ることがありました。
天照大御神の象徴は鏡ということですが、心の闇を超えて岩戸の扉を開いた時に、鏡に映るその姿は、天照大御神と同じ〈高貴な美しさ〉なのです。
それが<八百万の神>、誰もが神の分身である私たちの<本来の姿>なのではないでしょうか。
それを見出した人が一定数に達した時に、この世の岩戸も開かれるように思います。