憑依霊との<魂の対話>③ 楽しんではいけないと頑張ってきた女性霊
1)導入
今日は、蓮さんが「もうイヤだ!」と疲れて投げ出したくなるまで、頑張ってしまうことについての話し合いをしていました。
最近は、もう少し日々の生活を楽しむために、ハーブの栽培やピアノなどを始めたのですが、いつの間にか鉢をどんどん増やしていたり、難しすぎる楽譜に挑戦したりで、結局B+H(B=魂とはつながらない第2~3層の仮の自我、H=憑依霊)にその楽しみを奪われている、という状況だったからです。
すると直子さんは「あ、出てきた、その顔!その憑依霊に座ってもらってください」ということで、出てきたのは30代前半の女性霊でした。
2)「楽しんではいけない」という禁止令
直子 あなたが蓮さんの楽しみを妨害している憑依霊ですね?
憑依霊 私を追い出すつもりですね?
直子 いや、あなたを救うために話を聞いているんですよ。
憑依霊 しゃべりたくありません。
※この段階で蓮さんのコンタクトがズレて、その痛みもある中、しばらく焦点が合わないまま話すことになる。コンタクトがズレるのは、毎回B+Hが抵抗している時に、まさにタイミングよくズレるということが、これまでも起こっていた。憑依霊との<魂の対話>では初めて。
直子 人が楽しむのを、なぜ妨害していたんですか?
憑依霊 人が楽しんでいると悔しいんです。
直子 あなたは、心理学の交流分析(注1)という中で言われている、<禁止令>というのがあるのを知っていますか? 例えば、「楽しむな」とか「感じるな」とか、「死ぬほど頑張れ」とか、「信用するな」とか、親は知らずに子どもにそういう禁止令を発しているんです。結局は、その親も自分の親から受けた禁止令を、子どもに繰り返していることが多いんですがね。あなたも親から、「楽しんではいけない」という禁止令を受け取っていたのではないんでしょうか?
憑依霊 …確かに、楽しんではいけないとは思っていました。
直子 あなたはそれで幸せだったんですか?
憑依霊 仕事をしている充実感はありましたが、楽しくはないので幸せではなかったんでしょうね。
直子 あなたのご両親は、どのような親御さんだったんでしょうか?
憑依霊 父は仕事でほとんど家にいなかったですが、母も仕事をしていて、二人ともとても忙しそうにしていました。実際にそう言われたかどうかはわかりませんが、暗黙の内には「楽しんでないで、頑張れ」と言われていたような気がします。
直子 「楽しんではいけない」、「目一杯頑張れ」というのを、子どもの頃からの観念として植えこまれていたわけですね?
憑依霊 そうかもしれないですねえ…。
直子 ところで、あなたは自分が死んだことは認識しているんでしょうか?
憑依霊 いいえ。
直子 でも、先ほど「追い出すつもりですね?」と言ったのは、てっきり憑依していることを自覚していると思ったんですが。
憑依霊 その場の思念を読み取ったんです。
直子 ああ、そうなんですね。あなたも「ああ言えば、こう言う」の<頭のいい憑依霊>のようで(笑)。では、鏡を見てみてください。それはあなたの顔ですか?
憑依霊 私の方がキレイです。(※「こんな田舎臭い顔はしておりません!」と、心の中では言った)
直子 では憑依していることを認めた、ということですね(笑)。
※ここで、コンタクトがまだズレていたので、蓮さんはいったん退席して、洗面所に行って直してくる。その後は、この数回そうだったように、目をあげて話すよう直子さんから指示される。
3)仕事や亡くなり方
直子 あなたはどんなお仕事をされていたんでしょう?
憑依霊 飛行機で世界を飛び回っているのが見えます。
直子 では、世界中を飛び回るほど、かなり仕事が出来る方だったんですね。それでは確かに楽しむどころではないですね。
憑依霊 そうです。
直子 もしかして、キャビンアテンダントだったとか?
憑依霊 わかりますか?
直子 美しいということですし、テキパキしているので。でも、キャビンアテンダントだったら、海外での待機時間もあって、けっこう楽しむ機会は多かったんじゃないですか?
憑依霊 一般乗務員のそこそこレベルの場合は、そういう楽しみ方をしている人もいます。でも、私はもっと上を目指していたので、資格試験や、昇格試験などの勉強を常にしていました。いつもカバンには分厚いテキストが入っていて、外国のホテルでもそれをやっていたんです。
直子 あ~、確かに、チーフアテンダントを目指している中には、そういう勤勉な方もいらっしゃるんでしょうね。
憑依霊 そのタイプです。
直子 で、どのように亡くなられたのでしょうか?
憑依霊 これは、ほんとかなと思う気持ちがあるんですが、もしや飛行機墜落事故で亡くなった、なんてことはありえますか?(※そういうビジョンが見えている)
直子 まあ、飛行機事故はそうそう起るものでもないようですが、それもありえますよね。
憑依霊 そうだったように思うんです。
直子 だとしたら、志半ばで、いきなり亡くなったということですね。
憑依霊 そうです。あと一歩というところだったのに、急に、でした。
直子 それだったら、確かに心残りはありますよね。
4)選択
直子 でも、死んだからこそ、やっとその生前の観念から解放される、ということもあるんですよ。生きていれば、ずっとその観念に縛られるでしょうけど、死んで人生回顧をしてそれを学びに変えれば、その観念から解放されるんです。
憑依霊 そんなこと、できるんでしょうか?
直子 もちろんできますよ。今からそのための選択肢を説明しますね。このまま幽界に残って、リセットの時に一緒に消滅するか、それとも観念や感情を浄化するためにアストラル界→精神界へと進んで<新しい世界>に行くかの、どちらかです。今いる幽界から出て、あの世のアストラル界へと進んで、今生についての<人生回顧>をすれば、これまで捉われていた感情や観念からは解放されます。
憑依霊 どうしてですか?
直子 みんな、それぞれの人生初期に与えられた人生脚本に従って、まずは生きているんですね。それは生前に、今回の人生では何を学ぶかを予め決めて、それに合った環境や親を選んで生まれてくるからです。
だから、きっとあなたはあの両親の下に生まれて、「楽しんではいけない」という観念を持つという人生脚本を選ばれたんでしょうね。それに対して、前回の<魂の対話>で出てきた方は、正反対のお気楽な人生脚本の方だったんですが(笑)。
憑依霊 そう! あの人にはびっくりしました。もっと頑張れよ!と思いました!(※机を叩きながら言っていた)
直子 みんなそれぞれ違う人生脚本を選んで、それを乗り越えて学びにしようとしているんです。だから、あなたも本当は「楽しんではいけない」という観念を生きている間に乗り越えて、楽しむようになることを望まれていたんではないでしょうか?
でも、あなたのように若くして突然亡くなって、生前にその課題をクリアできなかった方は、死後、アストラル界や精神界で再体験しながら学びに変えていく、ということをみなさんされているんです。
憑依霊 あ~、だんだんわかってきました。これまで、蓮さんに憑いてこちらの話を聞いてきたことによると、5次元の新しい世界というのは、それぞれの創造性を発揮してみんなで楽しむ、というところのようですね。私は今回「楽しんではいけない」という観念をクリアして、そこに行くことが目標だったのかもしれませんね。
直子 確かにその観念をクリアするのは、けっこう高度なレベルの課題でしたね。
憑依霊 そうなんです。もっと低レベルの欲求というのは、いろいろあるじゃないですか。でも、それらを超えたところで、自分の意志を貫き通す強さを持つ、ということでしたからね。だから、私にとっては最後の課題だったという気もします。
直子 そうかもしれないですね。それだけ努力もしてきたわけだし、仕事とは言え人のために働いていたわけだし、悪いことをしていた訳でもなく、きっと因果応報の法則もクリアしていたんでしょうね?
憑依霊 そうです。ただ一生懸命生きていただけで、悪いことはしませんでした。
直子 だとしたら、もうすぐあなたは5次元に行ける段階なのかもしれませんね。何か見えますか?
憑依霊 何だか光っているあの世へのゲート(3次元の直日)のようなものが見えます。
直子 では、そこに入って、一先ずあの世に行って、残りの<人生回顧>をして下さい。
憑依霊 はい、そうします。どうもありがとうございました。
<周囲の状況>
今回も代表霊が席に座る頃から周囲の憑依霊も集まっていましたが、全体的にかなり抵抗感があり、それが一枚の壁のようになっている感じで、個々の様子はあまり見えませんでした。そして、直子さんが「あなたを救うために話を聞いているんですよ」と代表霊に言っても、さらにガードが強まる感じがありました。
「生きている人の楽しみを、なぜ奪っていたのか?」という問いには、代表霊と同じような心境の人もいれば、「さぼっている人を、励ましているだけだ」と思っている憑依霊もいて、まだこの場への反発心が強く出ていました。
しかし、禁止令の話になると、それぞれ家庭でのしつけや教育を受ける中で、楽しむことや遊ぶことに対しての禁止令を何かしら身につけていたことを思い出し、自分を振り返っているうちにガードが少しずつ緩んでいきました。
この時点で、少しずつ個々の霊の存在を認識できるようになってきましたが、そこにいる霊達は男女問わず、ピシッとして厳しい雰囲気の霊ばかりでした。また柔らかさや余裕もなく、隙が全くない感じでもありました。
「あなたはそんな人生で幸せでしたか?」と問われて、一瞬フリーズした霊がほとんどで、代表霊と同様に充実感や達成感はあったけれど、心の底から幸せだったとは思えないようでした。
特に楽しいことに蓋をする度に、悲しみや怒りなどの思いが抑圧されがちで、それを感じないようにするために余計に頑張り、また禁止令が強く働いているため、それに反するような行動をすることへの不安や心配から、ますます楽しさを遠ざけて動くようになる、ということがあったようでした。
ここで代表霊に対して、死んだことの自覚についての確認があると、霊達も死んだことを薄々感じているものの、志半ばで亡くなった霊がほとんどだっただけに、死んだことをすぐには認めがたいようでした。
しかし、改めてこの場の様子を見ていくと、憑依されている蓮さんと代表霊の違いや、この場も生前働いていた都会や海外とは全く違う田舎の古民家であることから、自分は死んで霊になっていることを認識し始めていました。とくに、憑依していた時は自分と同じような境遇でバリバリと働いている人に憑りついていたため、全く縁がないこのような場にいること自体が、現実を見ることに繋がっていたようでした。
代表霊の生前の話が進んでいくと、霊達も自分の生前を振り返り始めていたのですが、どの霊も、自分を律しながら一所懸命に学び・働いてきていて、基本的には人のためを思って生きていたようでした。また、若くして志半ばで死んだためにこの世への心残りが多く、その一方で権力やお金儲けといったことに巻き込まれる前に亡くなった霊がほとんどだったからこそ、今回の<魂の対話>に引き寄せられた、ということがあったようでした。
死後の選択肢の話になり、人生脚本についての話とともに直子さんから「本当は‛楽しんではいけない’という観念を乗り越えて、楽しむようになることを望まれていたんではないですか?」という話がでると、どの霊もハッとして、確かにそのような設定で生まれてきたことを思い出し始めていました(この時、霊達の中には人生が一瞬走馬灯のように流れたようだった)。
さらに楽しみを禁止してまで頑張ったことに対して、「努力もして、けなげに頑張ってきた」「仕事を通して人のためにやってきていた」という直子さんの話を聞くと、生前に楽しむことを禁止したために、本当はやりたかったことを我慢したことへの残念さは確かにあったけれど、でもそんな自分の人生をありのままに見て、受け入れる思いにもなり、今回の人生脚本が腑に落ちていました。そして、この観念は難しい課題なのかもしれないという話や因果応報の話なども、みな納得しながら聞いていました。
この頃になると、どの霊も全体的に美しく光っていて、幽界に戻る選択をする霊はおらず、人生回顧ののちに新たな5次元にいく方を選択しているようでした。そして移動の時になると、誰か人がくるわけではなく、あの世へのゲートに入っていきましたが、このルートは最短で人生回顧を終えて5次元の世界にいけるようでした。
一部だけ宇宙船や自分の星に帰る元宇宙人で人間に転生していた霊もいたのですが、5次元の星では「楽しむこと」「楽しみながら頑張ること」が、当たり前のことだけに、「楽しむことを禁止してがんばる」という未知の領域にチャレンジとしてやっていた場合や、何度か地球で転生していて、その時はずっと楽しむ人生ばかりを生きてきて人に迷惑をかけた反省から、最後のチャレンジとして、この人生脚本を選んだ霊もいたようでした。
(注1)交流分析とは、1950年代後半に、精神科医エリック・バーンによって提唱された心理療法の理論。それによると人は幼少期に世界と自分の立場を理解しようとして、自分に対する人生の脚本を書く。その脚本は「~するな」などの<禁止令>が大きく影響しているとされる。