雑誌 岩戸開き 連載<天地の対話>によるリセット・リスタート 第6回 スピリチュアリズムの原則

 

 <天地の対話>を10年間続けてきたこの「サラ・プロジェクト」とは、19世紀半ばから百年ほど続いていた欧米のスピリチュアリズムの流れと、日本では浅野和三郎さんや近藤千雄さんの心霊学の流れを引き継ぎ、今に必要なメッセージを受信する、というものでした。

 今回は、その原点に立ち返って「スピリチュアリズムとは何か」ということをまとめてみたいと思います。

 

 

スピリチュアリスト八か条の宣言

 私がこれまで見てきた中で、最も簡潔にまとめたものは、以下の「米国スピリチュアリスト連盟の八箇条の宣言」1893でした。

 

① われわれは無限なる叡智(神)の存在を信じる。

② われわれは物的・霊的の別を問わず、大自然の現象はことごとくその叡智の顕現したものであることを信じる。

③ われわれはその大自然の現象を正しく理解し、その摂理に忠実に生きることこそ、真の宗教であると信じる。

④ われわれは自分という個的存在が、死と呼ばれる現象を越えて存続するものであることを確信する。

⑤ われわれは、いわゆる死者との交信が科学的に証明済みの“事実”であることを信じる。

⑥ われわれは人生最高の道徳律が“汝の欲するところを他人にも施せ”という黄金律に尽きることを信じる。

⑦ われわれは人間各個に道徳的な責任があり、物心両面にわたる大自然の摂理に従うか否かによって、みずから幸・不幸を招くものであることを信じる。

⑧ われわれは、この世においても死後においても、改心への道はつねに開かれており、いかなる極悪人といえども例外ではないことを信じる。

 

 

スピリチュアリズムの七綱領

その他にも、スピリチュアリズムの女パウロと呼ばれたエマ・ハーディング・ブリテンが、生前熱心なスピリチュアリストであった社会主義哲学者ロバート・オーエンの死後に受けた霊言として、以下のようにまとめた「スピリチュアリズムの七綱領」1890があり、それは国際スピリチュアリスト連盟の公認となっているようです。

 

① 神はあらゆるものの源である。

② 人類はみな同胞である。

③ 人間の個性は死後も存続する。

④ この世とあの世とは交信可能であり、人間は天使(守護霊)の指導を受ける。

⑤ 各人にはそれぞれ果たすべき責務がある。

⑥ 生きている間も死んでからも、行ったことには必ず報いがある。

⑦ 人の魂は永遠に向上することができる。

 

 以上の二つの宣言に共通するのは、①神はあらゆるものの源、②死後の存続、③顕幽両界の交信は可能、④人間の責務としての黄金律、⑤自らの言動の結果は自ら受ける、⑥魂の永遠なる向上進化、ということでしょう。

 現在は、一般的には「人間の個性は死後も存続する」、「この世とあの世とは交信可能である」の2つを認めることが、スピリチュアリストの条件とされているようです。

 

 

黄金律・因果応報・科学的証明

 スピリチュアリストの方々は、多くの項目に同意されると思いますが、この中で「人生最高の道徳律が“汝の欲するところを他人にも施せ”という黄金律に尽きること」というゴールデンルールや、「生きている間も死んでからも、行ったことには必ず報いがある」という因果応報の法則、さらに「われわれは、いわゆる死者との交信が科学的に証明済みの“事実”であることを信じる」と書かれていることは、ご存じない方も多いのではないでしょうか。

 特に「死者との交信の科学的証明」については、初期のスピリチュアリズムにおいては、それこそが中心課題であったとも言えますが、現代のスピリチュアリストの方々は、それをほとんどご存じでないか、あるいは関心がない、という方が多いように思います。

 米国の心理学者ウィリアム・ジェームズは、さまざまな超常現象を研究した結果、超常現象というのは、信じたい人には信じるに十分な証拠が出る一方、信じたくない人には否定するに十分な曖昧さが残る。ちょうどそういうレベルの証拠しか出ないのが超常現象である」と述べています。

 しかし、その一方で「すべてのカラスは黒いという法則をくつがえそうとするなら、一羽のカラスが白いということを証明すれば十分なのである」とも言っていました。それは、「死後の世界があることを証明するには、確固とした証拠を一つでも提示できるならばそれで十分だ」という意味でもあります。

 次回は、その<一羽の白いカラス>を証明しようとしたものの中から、今ではなかなか入手できない興味深い本などをご紹介したいと思いますが、今回は最後に<スピリチュアリズムのパウロ>とも呼ばれていた、コナン・ドイルの言葉をご紹介します。

 

「心霊現象の立証は、生命の死後存続という宗教的課題が、もはや“信仰”という領域のものではなく、確固たる“客観的事実”となることが大切なのである」

 

「心霊主義が真実であると、なぜ私はそれほどまでに確信を持っているのかと人に聞かれます。私が絶対的な確信を持っていることは、この真実を人に理解してもらうために、私の性に合っている金にもなる仕事を諦め、ありとあらゆる不便や損失を被り、侮辱さえ受けることにも甘んじたという事実によって証明されています」

 

 彼は『シャーロック・ホームズの冒険』で得た収入で、スピリチュアリズムを広めるための講演に世界中を回っていたときに、「シャーロック・ホームズの話しをしろ!」という罵声をよく浴びていたとのことです。

 

 

 

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