憑依霊との<魂の対話>① 自己否定的な女性霊
まえがき:憑依霊との<魂の対話>とは
これまで私たちがこの世の人々と<魂の対話>を行ってきたように、幽界の憑依霊たちに自分の魂を見い出して、あの世へと移ってもらうための<魂の対話>を行ってきた、32例の中から3例をご紹介したいと思います。
その方法は、まず霊媒の蓮さんに乗り移った憑依霊に、審神者としての私・直子が質問をする。また、それに立ち会っている霊媒の友紀子さんが、周囲に集まってきた憑依霊たちの様子を観察している。そして、終了後に蓮さんと友紀子さんの第1層(霊体脳)に記録されていたものを言語化し、直子がそれに多少の修正を加えてまとめる、という形で行いました。
その都度現れる憑依霊は、地上の<魂の対話>と連動した霊であることが多く、しかも憑依霊との対話の方が、彼らは堅固な肉体を脱いでエーテル体(幽体)になっており、さらに少なくとも死んでも意識が残っていることを認識しやすい分、地上の人たちと対話するよりもはるかに呑み込みが早い、という印象はありました。
ですから、読者の方々は「こんなに簡単にいくものだろうか?」との疑念を持たれるかもしれませんが、私たちが体験していることを、一応ありのまま記録したものとして、ご覧いただければ幸いです。
憑依霊との<魂の対話>①自己否定的な女性霊
1)導入
今日は時間もあるし「じゃあ、憑依霊との対話でも」という話になって、それぞれ案を出し合い、その当時話題になっていた「ま、みんなやっているのだから」と怠け癖のある憑依霊に座ってもらってはどうか、ということで開始しました。
すると「え?私が?」という感じで、ぶつぶつ言いながらも誰かが蓮さんに憑依しました。
その憑依霊は、40代くらいの、私服はハイヒールを履いているおしゃれな感じの独身女性で、直子さんが以下のように質問していきました
2)憑依霊の来歴と幽界の現状
直子 あなたは死んで、幽界霊となっていることは自覚してますか?
憑依霊 はい、今はいちおう。
直子 何が原因で亡くなったのでしょう?
憑依霊 何だったのかは思い出せないんです。何かの病気になって、病院で亡くなったと思います。
直子 あなたは生前「死んだら無になる」と思っていたのですね?
憑依霊 そうです。でも死んだと思っても意識があったので、まだ生きていたんだと思い、そのまま生前の仕事をするかのように、人の後ろに立っていろいろとアドバイスをしていたんです。
直子 どのようなお仕事をされていたんでしょうか?
憑依霊 ホテルの受付をしていました。憑依していたとわかったのは最近で、それまでは仕事の続きをしているような気分でした。
直子 ではあなたは怠け者ではなく、おせっかいな方なのかな?
憑依霊 怠け者は憑りつかれている本人で、そういう人はとても依存的。憑依霊の方が頑張ってます。
直子 ではあなたは優秀なタイプだと思うので、幽界での様子を教えてもらえませんか? 最近は、幽界の皆さんから学ぶことも多いので(笑)。
憑依霊 いいですよ。こちらでは、1人でいると真っ暗闇なんです。他の憑依霊や、地上が見えているわけじゃなく、何も見えない。でも、その真っ暗な中に、ホワーンと憑依対象の人のオーラが少し明るく見えている。その中に入ると、自分も明るい外の世界が見えてくるという感じです。なので、こちらでは誰かに憑りつくことで、明るい世界で生きられるんです。
3)明るい世界で生きるもう一つの道
直子 でも、明るい世界で生きるには、他の方法もあるのをご存知ですか?
憑依霊 え?
直子 そうやって人に憑りついているよりも、死んでもそのように意識があるわけだから、それをしっかりと認めて、死後の世界に進むという手がありますよ。最初のアストラル界では感情や欲求を浄化し、その後は精神界に進んでこの世の観念を浄化していくという、魂の向上進化の階層(参考図:死後階層図)がちゃんとあるので、そのようにあの世の明るい世界で生きた方が楽しいんじゃないですか?
憑依霊 ・・・。
直子 あなたはいくら社会で活躍していても、内面的にはけっこう辛いことや悲しいこともあったのではないですか? アストラル界では、<人生回顧(注1)>によってその内面の世界をまずはしっかり見ていくことになります。(※憑依霊は母親が早く亡くなったようで、そのことを思い出して、ウルッとしている)
憑依霊 今まで外の世界ばかり見て、そこで頑張って走り回ってばかりいて、内面に向かうことは怠けていました。
直子 そうでしょうねぇ。現代人はそういう人が多いんでしょうね。でも、外の世界は死んだら真っ暗になったんですよね?
憑依霊 そうです。全部消えたんです。
直子 それは、外部世界というのは、生前のホログラム(注2)で映し出されている夢だったんです。だから、それに執着しているよりも、自分の内面にある魂に向かえば、そこには生前に体験したことがすべて記録されていて、それは消えずにずっと携えていけるんですよ。(※憑依霊の魂が少し光る)
憑依霊 じゃあ、行きたいです。
4)お迎え
直子 そう決意すると、たいていはお迎えが見えてくるんですが、何か見えませんか? 一般的には身内の人が迎えに来ることが多いんですが、まれにはUFОが迎えに来る人もいたりします。でも幽界霊が出してくるトラップもあるので、すぐにはそれに付いていかずに、まずは見えてくるものを教えてくださいね。
憑依霊 これはトラップの方だと思いますが(笑)、気球みたいな乗り物に、数人の霊が乗っていて「一緒にフワフワしようよ~!」と誘ってきます。こういうビジョンが湧く時は、暗闇ではなく見えるんですよね。
直子 それはちょっと怪しいですね(笑)。でもそういうトラップが見えるということは、あなたの決意がまだ弱いということかもしれません。何か心残りなどがあるんでしょうか?
憑依霊 内面に向かう、というのが…。私は、ただ人に認められたかったんです。
直子 人に認められたいと言いますが、その前に自分で自分を認めているんでしょうか?
憑依霊 …(泣)。認める…それを他の言葉でいうと、どういうことになりますか?
直子 それは完璧な自分になることではなく、‟I’m OK“と思える、「まあ、こんなものでいいか」と思って、ありのままの自分を受け入れている、という感じです。
憑依霊 …認めてないです。
直子 ですよね。でも、これから魂に向かっていけば、自分で自分を認められるようになりますよ。地上で身に付けた感情や観念などの捉われを浄化していくと、魂とつながった平穏な気持ちになれるんです。
憑依霊 今、そうなっていなくてもいいんですね? そうしたい、と思うだけで…。
直子 はい、それはまたあの世に行ってからの<人生回顧>でして下さい。それは、「ありのままの自分を見て、受け入れて、学ぶ」というもので、けっして自分を評価したり、否定したりするものではありません。
憑依霊 ……では、ぜひそうしたいです。(肩を震わせて泣き出す)
直子 何か、見えてきましたか?
憑依霊 はい、母が迎えに来てくれました(泣)。
直子 良かったですね。ではお母さんに付いていってください。
憑依霊 はい(泣)。(※お母さんは光って見えるので、憑依霊はそのオーラの中に入れてもらって、アストラル界に向かった)
<周囲の状況>
これまでの憑依霊との<魂の対話>では、始まると代表霊と同じような雰囲気の霊が集まってくる感じがあったのですが、今回はその気配はあるものの、具体的な姿は浮かばず、モヤモヤとした灰色で重い空気感だけがある印象でした。
代表霊が幽界の状況を伝え始めたころから、周りにいる霊達の様子が浮かび上がってきましたが、霊同士はお互いを認識していないようでした。また今回の霊達は、どこにでもいる〈普通の人〉という様子で、生前もごく一般的な生活を送っていたような印象がありました。
代表霊と直子さんの対話を、霊達は抵抗感をあまり持たずに、とりあえず聞いてみようと素直に耳を傾け、また出てくる話にもそれぞれ反応しながら聞いていました。
そして直子さんが、明るい世界で生きるための方法について話し始めると、生前から今までの間で初めて、死後についての詳しい知識を知った霊がほとんどだったため、「そういう世界があったのか!」と驚いていました。
さらに、直子さんが自分の内面に向かうよう話し始めると、代表霊と同様に霊達もこれまで外にばかり意識が向きがちで、内面にしっかりと向かうことはしてこなかったことを振り返り、少し抵抗感が出ている霊もいました。しかし、二人のやり取りを聞いているうちに、多くの霊は内面に向かうことへの怖さや抵抗感よりも、向かおうという気持ちのほうが強くなっていました。
そのような中、「人に認められたかった」という話が代表霊から出てくると、同じような心境の霊がほとんどだったようで、強く同意しながら聞いていました。しかし、それに対して「その前に自分で自分を認めていますか」という直子さんの質問を聞くと、ハッとしてその通りだったと思いながらも、核心的なことであるだけに胸が詰まり、その言葉を少しずつ受け止めていっていました。
さらに直子さんから、自己肯定の構えについての説明や、喜怒哀楽の感情はどれも等しいこと、自分の心をありのままに見るということ、人間の心は宇宙のように複雑で広大であるといった話を聞いていくうちに、これまでになかった視点や考えが芽生え、自分の内(魂)に向かうベクトルができていったようでした。
その際、生前はあまり感じられなかった自分の内面への好奇心も沸いてきているようで、この頃には最初、周囲の霊達に感じた灰色の重い空気感はなく、軽くてほのかに明るい雰囲気に変わっていました。
お迎えの時は、ほとんどの霊がアストラル界に移動していきましたが、家族や友達などが迎えに来ていたり、自分で光のほうに歩いていったりとさまざまでした。
(注1)人生回顧とは、その人が生前におこなったすべての体験が、感情を伴って一瞬の走馬灯のように映像が浮かぶというもの。それによって自分を振り返り、未消化な感情があれば、アストラル界でそれを学びに変えていくことになる。
参照リンク:人生回顧とは
(注2)最新物理学における「ホログラフィー原理」では「私たちが目にしている世界は、2次元の平面から浮かび上がったホログラムのようなものかもしれない」と言われている。