憑依霊との<魂の対話>② 葬儀屋をやっていた意固地なヤクザ

 

1)導入
 この日の浄化作戦も、どんな霊が座るのかお任せで臨むと、ちょうど話題に出ていた<意固地>なタイプの霊が蓮さんに憑依しました。黒いスーツを着ている肩幅の広い男性で、55歳くらいで亡くなったとのこと。どう亡くなったかは覚えてはいないということで、以下のような対話が始まりました。

 


2)来歴と死の自覚


直子 あなたはどのようなお仕事をされていたんですか?

 

憑依霊 葬儀屋です。

 

直子 ではけっこう稼いでいたのでしょうか?

 

憑依霊 いや~、給料はある程度はいいんですが、でも葬儀屋なんて、社会の底辺の仕事ですからね。そして、この業界は今はそうでもないと思いますが、実はヤクザが牛耳っていたんですよ。昔は、結構そうだったんです。

 

直子 ああ、そうなんですね。で、あなたは亡くなったことは自覚しているんですか?

 

憑依霊 まあ、そうかなとは思っていました。

 

直子 葬儀屋だとしたら、死体にいつも接していたでしょうが、生前は死についてどのように思っていたんでしょうか?

 

憑依霊 死体は焼いたら無くなるじゃないですか。それはたくさん見てきましたからね。

 

直子 でも、今こうして話していることで、無くならないということは認めましたか?

 

憑依霊 いや~、どうかな。葬儀の世界でもね、けっこう幽霊って出て来ることがあるんですよ。でもそれは、残存思念というのかな、そういう印象なんです。空気中にも、人の気配が残ったりするじゃないですか。そういうたぐいの思念の名残りみたいなものが、幽霊と言われているんだろうって。だから、結局どうかはわかりませんね。

 

直子 ああ、そのようにあいまいなままにしている人は、けっこう多いのかもしれませんね。実は、体というのは、この図(参考図:人間の微細エネルギーの場)のように外側から肉体・エーテル体・アストラル体・メンタル体・コーザル体と、どんどん脱いでいくようになっているんです。

 死ぬとまずは肉体を脱ぐので、あなたは今、エーテル体でいる幽霊なんですよ。だけど、こうして人間に憑依すれば、話をすることもできるのですから、単なる残存思念ではないんじゃないですか? あなたにも、今、自分で話している意識があるでしょう?

 

憑依霊 そうだけど…。

 

直子 それに、意識を向けさえすれば、あなたにも魂があるんですけどね。

 

憑依霊 あんまりピンとこないけど…。

 

 

3)選択・お迎え

 

直子 今、一瞬のリセットが起こるのか、この大災害のマップ(参考図:No.26)のように、次々と災害が起こって人類が滅んでいくのかはわかりませんが、いずれにしろ憑りつく人間がいなくなると、あなた方も消滅してしまいますが、それでいいんでしょうか?

 

憑依霊 でも一気に全員が死ぬってことはないでしょう? 何割かの人は残るだろうから。

 

直子 恐竜時代に絶滅があったように、今もそれと同じような状況で、ともかくこの3次元のこの世は、一旦リセットをされるようです。だから今、幽界の皆さんに、そこに居たまま消滅するのか、それとも魂とつながった自分になって、まずはアストラル界に行って新しい世界に向かうかの選択してもらっているんですが。

 

憑依霊 さっき、みんなで「意固地な人」の話をしていたでしょう? 私もそういうタイプなんですよ。だから自分が納得しないと、そうそう簡単に「はい、そうですか」とはなりませんね。

 

直子 子分タイプだったら、素直に聞くのかもしれませんが、と言うことは、あなたは親分だったんでしょうか?

 

憑依霊 もっと上もいましたが、一応親分だったんですよ()。ウソや騙しが多い業界で、身を守っていくには、この意固地さというのは必要だったんですよ。

 

直子 確かに親分は意固地な方が多いんでしょうね。でも今は、そうやって意固地に魂や神や死後世界を否定し続けて幽界もろとも消滅するか、素直にそれらを認めてあの世のアストラル界に行くか、という選択が求められているんです。

 

憑依霊 死んだら消えたいと思っていたわけだから、それが私の願望ですよ。だから消滅でいいんです。

 

直子 そうですか、それがあなたの答えですね。キンコンカンコーン!(と合格の鐘を鳴らすそぶりをする) 初めての方なんですよ、あなたが。消滅を選ぶ霊がいつ出て来るかと楽しみにしていたんですが(笑)、それでいいんですね? 

 一応これまでここに座った方は、表層的には消えてもいいと言っていても、深いところでは自分の魂を受け入れたいと思っているからこそ、ここに座られていたようなんですが…。

 

憑依霊 …そう言われると、胸が苦しくなります。

 

直子 面白いですね。いざ本当にそうかと問われると、苦しくなるんですね?

 

憑依霊 そうですねえ。なぜかはわからないですが、何かが詰ったような感じで、息苦しいです。

 

直子 でも、死んだら終わりと思って、きっと好き放題にやってきたんでしょう? そしてそのまま消滅すると思っていたのが、改めて魂の存在を認めるかどうかを問われると、迷ってしまうんですね。

 

憑依霊 そう簡単には、信じられないんですよ。

 

直子 信じるか、信じないかではないんです。あなたの中のより深い気持ちに気付くかどうかです。神の分霊としての個性が、あなたにもあるんですから。

 

憑依霊 ……(涙)。実は昨日、蓮さんに憑依したまま一緒に「則天去私という生き方」という本を読んでいたんです。そのなかで色とりどりの粘土が、大きな手で混ぜられて灰色になっていくというビジョンを見ていましたが、今はそれが浮かんでいます。私の個性も黄色としてあったんだけど、その周りに炭のようなものがくっついて、真っ黒になっていたんです。

 

直子 はい、でもそれが取れれば、また元の色に戻りますよ。

 

憑依霊 ええ~、取れるんですか?

 

直子 スピリチュアリズムの原則に、「どんな悪人にも改心の道は開かれている」というのがありますし、因果応報から言っても「ごめんなさい!」と心から反省すれば、そこで新たな<今>に変わるんです。

 

憑依霊 でも、それは高次元の人の話じゃないんですか? 急にすぐよくなるとは思えないけど()

 

直子 まあ、一気に5次元の世界に行く人ならともかく、あなたはそうでもなさそうだから、まずはアストラル界に行って内省することは必要でしょうね。

 でも幽界を抜ければ、一応そこでついていた炭は取れて、元の黄色の魂にはなりますよ。だって「死後の世界はない」というその意固地さが生んだ黒っぽさでもあったんだから、そのエーテル体を脱げば、一応魂の色は取り戻すのではないでしょうか。だからと言って、すぐに光り輝く黄色にはならないでしょうが(笑)。

 

憑依霊 まあ、そうか…。

 

直子 もし、あなたが本当にそこを抜けてアストラル界に行く決心をしたなら、お迎えが見えて来ると思いますが。でも幽界からの誘惑のビジョンもあるので、そこは気を付けないといけないんですがね。

 

憑依霊 あはは()。ちょうど、誘惑するために子分たちが来ていました。

 

直子 来ますよね~。あなたは、そういう子分の面倒見は良かったんでしょうね。

 

憑依霊 自分のいい面も思い出しました。ヤクザというのは悪いイメージがあると思いますが、けっこう正義感や仁義を守ったりもするし、面倒見がいいところも確かにあったんですよね。

 

直子 そうでしょうね。私は、ヤクザはけっこう好きな方で、陰で悪いことをしているようなお役人さんとかよりも、よほどまっすぐなところもあるような気がしますね。

 

憑依霊 そうなんです。実は今、昔連れ添っていた女房の白い手が見えています。

 

直子 きっと苦労をかけたんでしょうねえ(笑)。

 

憑依霊 けっこう、支えてくれた人でした。

 

直子 ではその奥さんについていきますか?

 

憑依霊 はい。そうします()

 

 

 

<周囲の状況>

代表霊が座る前から、どんどんと憑依霊達も集まってきていましたが、この時は人間らしい姿ではなく、かたい岩のようなかたまりが集まってくる感じがありました。対話が始まり、出てくる話にいろいろと反応しながら聞いているうちに、個々の様子が見えるようになっていきました。

 

来ている霊達は、男女問わず、職種はさまざまなようでしたが、柔らかい雰囲気はなく、硬くて流れが止まっているような空気感がありました。死んだことは、何となくわかっている霊が多かったのですが、色々と理屈をつけて認めようとしない霊や、開き直って表層的にだけ認める霊も一部いました。

 

そのような中で、直子さんが「久しぶりのお勉強会ですね!」と明るく言うと、硬かった空気感が少し和らいでいきました。そして、体の構造についての説明が始まると、まだ表立って素直に聞こうとする態度は見えないものの、何だかんだ言いながらけっこう熱心に話を聞いていました。ただ、それでも抵抗感の強い霊は、一部幽界に戻っていきました。

 

話された説明に対しては、代表霊のようにピンとこないと思う霊や、色々と理由をつけて反発する霊が多く、さらにその後に続く選択についての話が始まると、どんどんと抵抗が強くなっていきました。しかし、素直になってアストラル界にいくか、意固地なまま幽界にいて消滅するのかという選択が示されると、抵抗感はよりも、むしろフリーズした雰囲気になっていきました。その時点で、幽界にいて消滅するほうを明確に選択した霊は去っていきましたが、多くの霊は幽界のほうを選択すると思いながらも、結局この場から立ち去ろうとせず留まっていました。

 

霊達は、生前は死んだら終わりだと思っていたけれど、そうではなかったことに加え、魂を認めてアストラル界に行き、魂の向上進化をしていく道があるという事実は、衝撃だったようです。そのため、これまでの自分の言動や考えとの間で葛藤が生じて、さらに自分の中の魂をうっすらと感じ始めているだけに、余計に立ち去りがたい様子でした。

 

代表霊と直子さんの対話が進み、「元々はワンネスだったけれど、個に分かれて生きることで個性が発生していった、あなたにも神の分霊としての個性(魂)がある」という話をきくと、霊達はハッとして自分の内を意識しはじめ、本来の魂を思い出し始めているようでした。(少し雰囲気が明るくなる)

 

しかし代表霊が「黄色の個性の周りに炭がくっついて真っ黒になっている」と話すと、みな同様に感じるところがあったようで、一瞬沈んだ雰囲気になりました。それに対して、直子さんから、「炭はとれる」という話や、「どんな悪人にも改心の道は開かれる」、「因果応報は心から謝れば新たな今になる」などの話を聞き、その上で「自分の心に素直に問いかけてみてください」と言われると、ガードがとれてさらに魂の光が見えてきているようでした。

 

その際、涙を流している霊や、あれだけ意固地になっていた自分が馬鹿らしく思えて笑っている霊などがいましたが、ほとんどの霊達は、本当は自分の個性や魂を輝かせたかったと思っている印象がありました。

 

お迎えの時になると、妨害のためちょっかいをかける憑依霊達も来ていましたが、それに負ける霊はおらず、それぞれ友人や家族などの迎えに付いて行きました。ずっと意固地で過ごしてきた分、その強さを良い面で発揮すると、荒魂の強さとして発揮できる面があるようでした。

 

 

 

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